キャッシュレス決済。つまり、現金を使わず買い物をすることだ。 日本で最も普及しているのはクレジットカードだが、それでも日本のキャッシュレス化は世界的にかなり遅れているという。日本国内ではまだまだ現金による買い物が圧倒的に多いのだ。 インバウンドの増加に伴い、日本国内でのさらなるキャッシュレス決済の浸透が期待されている。中でも、近年続々と登場している「QRコード」を使った決済サービスは注目だ。 まだまだ現金による決済が多い中小店舗での浸透を狙い、簡単でスピーディなQRコード決済を推し進めようと、さまざまな企業が参入している。今後のQRコード決済を考察してみよう。
世界的に大きく遅れているキャッシュレス決済の国内事情
まず、日本のキャッシュレス決済の現状を眺めてみよう。
野村総研の調査によると、2016年の日本のキャッシュレス決済の比率は19.8%。世界の国々を見てみると、韓国96.4%、イギリス68.7%、オーストラリア59.1%、シンガポール58.8%、アメリカ46.0%、フランス40.0%などとなっている。
つまり、日本は全体の8割ほどを現金で取引しており、キャッシュレス化は世界的に見てもかなり立ち遅れていると言える。
それは裏を返せば、ATMや自動販売機が国の隅々にまで普及し、現金を気兼ねなく使えるという治安のよさを物語るとも言えるだろう。日本の消費者にとって、便利で確実な現金の信頼性は圧倒的に高い。
そんな「現金至上主義」に加え、日本でキャッシュレス化がなかなか進まないのは、キャッシュレス決済の手段が多彩だからだ。その種類は世界的にも多いほうで、クレジットカード、デビットカード、電子マネーなど、1人あたりのカード保有枚数は8枚弱とも言われている。
キャッシュレス決済の方法が多様なため、店舗側も個別の読み取り端末を設置するには費用がかさむ。これが、中小店舗がキャッシュレスサービスを導入することへの障壁となっているわけだ。
手軽で格安、スピーディなQRコード決済とは?
このような状況のなか、政府は「支払い方改革宣言」を発表。
2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度に、将来的には世界最高水準となる80%にまで引き上げることを目標としている。
そこで、近年にわかに注目されるようになっているのが、QRコードを使った決済サービスだ。大手からベンチャーまで数多くの企業が参入し、半ば「乱立」の様相を呈しているのだ。
そもそもQRコード決済とは、店舗が紙やタブレットに表示した二次元QRコードを客が自分のスマホアプリで読み取る、あるいは逆に、客がスマホに表示したQRコードを店舗側がタブレットなどで読み取る、などして決済する方法だ。客は事前に、決済用のクレジットカードや銀行口座などを登録しておかなくてはならない。
QRコード決済は、Google Pay、Apple Pay、おサイフケータイなどとは異なり、機種に依存することなく、アプリさえダウンロードすれば大半の機種で利用することができる点がメリットだ。
QRコード決済は、すでに中国などで盛んに行われている。
日本国内では、ベンチャー企業のOrigamiが2016年5月に始めたサービスが先駆け。以後、楽天、LINE、Amazonなど数多くの企業が参入している。
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2015.07.17
2009.10.31