転職の「転」は、「ころがる・ころぶ」である。その転職によって、良い方に転がる場合もあるし、悪い方に転ぶ場合もある。その分岐点はどこにあるのか。
強い意志を持ち、努めて自律的であろうとする人は、多少の職場の違和感、不満、不足、不遇をその場で乗り越えていける。
他方、意志を持つことをせず、自律的になることがしんどそうで逃げる人は、違和感、不満、不足、不遇を嫌って、すぐに居場所を変える。そして漂流回路に陥るリスクを自ら大きくする。
人の「変わる/変わらない」を簡単な図にしてみました。
人生において、ときに自分が「変わる」ことも大事ですし、「変わらない」ことも大事です。ですが、その行動が、強い意志・自律に根ざしているのか、弱い意志・他律で何となくなのか、これは重大問題です。さきほどの図を少し作り変えてみましょう。
あなたは「猟場を変える大鷹」でしょうか、「不動の大樹」でしょうか。それとも、「タンポポの種」、「よどむ水」でしょうか。
◆その転職が「栄転」になるか「流転」になるか
私は転職を否定しません。長いキャリアの途上で状況創造を行っていくときに、働く環境を変えることがよいと思われる状況は起こってきます。
その転職が、はたして「栄転」チャンスとなるのか、それとも、「流転」リスクになるのか―――それを判別する簡単なチェックシートを用意しました。
次の表の6つの質問において自分の状況や思いに近いほうを選んでください。左側に多くチェックが多く付いた場合は、栄転する転職、つまりポジティブな展開になりやすいでしょう(=P型転職)。逆に、右側に多くチェックが付いた場合は、流転する転職、つまりネガティブな展開になりやすい状況です(=N型転職)。
P(栄転)型とN(流転)型の違いは、結局のところ、自分を強く持っているか、未来像を強く持っているか、動機がどこにあるか、の違いです。質問ごとの解説は次のとおりです。
■【Q1】
転職の動機が未来にあるのか、それとも現状の不安にあるのか。P型転職を実現する多くの人たちは、強い未来志向であるがために、現状に物足りなくなって、もう一段高みのキャリア舞台を求めて転職という選択肢を取る。他方、N型転職に陥ってしまう人は、なんとなく現状がうまくいかない、現状から逃避したいという思いから転職に走ってしまうことが多い。
■【Q2】
自律のワークスタイルか他律のワークスタイルか。P型の特徴は、仕事のさまざまな部分に、自分を織り込んでいく意志・習慣の強さである。組織・他人の流儀にどっぷり浸っているだけの人は、キャリアも他力本願になりやすい。
次のページ「どう働きたいか」、「どう生きるか」という再決心の問題です。
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【転職を考えるとき】
2012.05.17
2012.05.11
2012.05.06
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。