水嶋ヒロが颯爽と歩き、長谷川潤が軽快なステップを刻む「ライトオン」の春の新作ジーンズCM。ユニクロが「ジーンズ帝国」の体制を完成させた市場で何を狙うのか?
もう一方、昔ながらのジーンズブランドにも動きもある。例えば、エドウィン。1960年代に登場した日本のオリジナルブランドである。特に1994年に登場した「503」にはファンが多い。(筆者もその一人である)。
エドウィンは503を軽く履き心地がよく、シルエットも美しい「503プレミアム」に磨き上げ、また、従来本社近くの日暮里駅前に旗艦店を置いていたが、昨年、今年と原宿エリアにプレミアムショップ出店するなどチャネルの魅力も高めている。
では、「ライトオン」の戦略はどうなのか。
「LIGHT SHINY DENIM」の価格は8900円。エドウィンの「503プレミアム」が多くの販売店が8925円で販売していることから、同等価格だといえる。つまり、格安なプライベートブランドではなく、ナショナルブランドとガチンコ勝負をかける価格でもあるわけだ。
しかし、その製品仕様を見ると、ガチンコ競合を狙っているわけではなさそうだ。
同商品の売りは<昨年の秋に発売されたおしゃれが楽しめるシャイニーデニムの春モデル。「ライトウエイト デニム」の上に薄くコーティング加工した素材に、生地の表面に表れる程よい光沢は、これまでになかった新しい表面感となっている>(3月7日 ザテレビジョン)というポイントだ。
海外プレミアムジーンズほど高価ではなく、キメキメのオシャレでもない。かといって、オーセンティックなジーンズブランドよりは程よくオシャレ。エドウィンと価格は同じでも、その程よいポジショニングで選ばれようという戦略である。
成熟市場であるジーンズ市場だが、ファーストリテイリングが圧倒的パワー市場を牽引している。その裾野はさらに拡大するかもしれない。すると、「みんながはいているジーンズと違う」というニッチャーの差別化ポイントが一層活きてくる。
「ユニクロが通った後はペンペン草一本残らない」的な批判が散見されるが、上記の用に考えれば、市場は健全に活性化されていることがわかる。業績的にまだ厳しいライトオン社であるが、ニッチャーのポジションを確たるものとして頑張ってほしいと思う。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。