JR東日本のエキナカで自販機事業を展開するJR 東日本ウォータービジネスが、「地産エキ消」ともいうべき商品ラインナップを展開しようとしている。地味で見過ごしてしまいそうな動きだが、よく考えれば意義深いチャネルの動きなのだ。
自販機は現在全国に約240万台が展開されているが、清涼飲料販売におけるシェアは1990年代の50%弱から約35%にまで低下しているという。景気低迷のあおりを受け、道路や建設工事が減少し、現場に設置されていた自販機が大幅減。企業内の事業所に設置されていた自販機の撤去も進んでいる。街中の自販機も立地の悪いものは統廃合が進んでいるというような背景がある。競合はコンビニであり、豊富な品揃えと弁当などのついで買いの利便性で確実に自販機の販売シェアを浸食してきている。
JR東WBは自販機事業として、縮小する他事業者と一線を画して独自展開を加速する必要がある。その中で、大手飲料メーカー以外の、地場メーカーを発掘しての「地産エキ消」も、顧客に選ばれる生き残り策の一手なのだといえる。同社は3月初旬に第2弾として「青森のりんご飲料」を発売予定だという。
地方の地場メーカーとしては、JR東日管内に1万台の自販機チャネルが販路として拡大し、suica対応であるため決済情報を利用した時間帯別売れ筋情報なども把握することができる。市場カバレッジと情報収集という、チャネルに求められる機能を得ることができるのだ。
今後、このWin-winの関係がどのように発展するのか。また、消費者にどのような利便性を提供してくれるのかに、継続して注目してみたいと思う。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。