日本初にして唯一の相互添削型SNS・Lang-8のビジョン最終回

「学生のアルバイトが常時、10名ぐらいは手伝ってくれているのですが、それではサイト改造もなかなか追いつきません。ユーザビリティの改良、学習機能の追加などやりたいことはいくらでもあるのだけれど、そのための人材がいない。これがジレンマですね」

つい最近Lang-8はプレミアム会員の募集を始めた。毎月500円の会費を払えば、添削してもらった文章をPDFデータでダウンロードできる。より早く添削してもらえるようサイト上での表示も、目立つデザインが施されるようになる。

「もちろん資本政策についてはきちんと構想を練っています。ただ、今はどうにも時期が悪い。ベンチャーキャピタルさんからもいろいろお話はいただくのですが、我々の思いとはいささかずれがあります。僕らが目指しているのは、あくまでも世界規模のサービスなんです。日本国内でどうこうといったレベルじゃありません。ユーザー数だって、日本人比率はもう少し減って当然だと考えていますから」

今はビジネスの拠点を日本に置いているけれども、その視線の先に見すえているのはあくまでも世界。もとより会員数わずか10万人も満たないベンチャーが何を大きなことを、というそしりは確かにある。しかし、最初から世界を見すえてビジネスを展開するのと、まず日本で育ててから世界に出て行こうと考えるのでは、戦略を組み立てるときのスケールやスピード感がまったく違ってくるはずだ。

「生意気かもしれませんが、僕たちは学習効果の面で世界一のサービスを提供したいのです。それも全世界の学びたい人たちに対してです。確かに足もとの状況は笑っちゃうぐらい厳しいです。僕自身の出張経費さえまだまともに出せないぐらいですから。でも、せっかく掴んだチャンスをみすみす逃すようなことは絶対にしたくない。必ずLang-8を世界最高の学習サイトにする、それまでは絶対にあきらめずにがんばり抜く覚悟です。どうぞ、応援、よろしくお願いします」

～特集インタビュー
「日本初にして唯一の相互添削型SNS・Lang-8のビジョン〜」完～

『ランゲード社　関連リンク』
Lang-8：http://lang-8.com/
ランゲード株式会社HP：http://lang-8.jp/

【Insight's Insight】

最初から本気で世界を相手にしたネットビジネスが、これまでの日本にあっただろうか。喜社長の話を聞いて、まず思ったのがそのスケール感の大きさだ。
キャッチアップとそこからのカイゼンは得意だけれど、自らがゼロから何かを創造することは極めて不得意。残念ながらこれが日本人の特質とされる。過去のネットビジネスを見ても然り。成功しているモデルのほとんどが、海外発のモデルを移植しジャパナイズしたものだ。だからこそLang-8には期待したい。
もちろん、1億人ユーザーまでの道はまだまだ果てしなく遠い。そのマイルストーンさえ、ほとんど霞がかかって見えない状態だろう。だからこそ、これからどのようにも化ける可能性もある。何よりすばらしいコンセプトがコアにきちんとある。提供できる価値は極めてクリア、そして価値を提供できる相手は、世界中にいる。
恐らくは喜社長には、おぼろげではあったとしても、先の道は見えているはずだ。誰かが協力すれば、何か弾みが付けば、あっという間に爆発的に成長する。そんな可能性をぷんぷんと感じさせるのがLang-8である。Lang-8の今後は、日本のネットビジネス全体の可能性をも象徴するのではないだろうか。

◇インタビュー：竹林篤実　◇構成：竹林篤実
◇撮影協力,フォトグラファー：㈱エムツーフォト 代表取締役 宮田昌彦