永谷園の「生姜部」。まさに今、ビジネスとしては「収穫期」を迎えているのだろう。新製品の投入も矢継早である。そんな同社・同部に作って欲しい商品を考えてみた。
ターゲティング、ポジショニングが固まれば、次は4Pである。Product(製品)は、生姜入りであって、男性受けするフレーバーの開発が必要だが、それは永谷園・生姜部が頑張るだろう。Price(価格)も相場の350ml・120円程度に設定することになる。
最大の問題はPlace(販売チャネル)だ。ターゲティング・ポジショニングの問題から、「冷えしらずさん」とは別物になる。となると、販路・棚の確保をまた、一からやらなければならない。
コンビニのホット飲料棚の取り合いは熾烈だ。なかなか割って入りにくい。狙いは自販機だ。
実は、首都圏において「『冷え知らず』さんの生姜チャイ」の露出が高まっているのは、エキナカ自販機のせいもある。JR東日本管内のエキナカに1万台展開されている「acure」のブランドロゴが付いた自販機の多くで同商品が販売されている。飲料メーカーではない永谷園が自販機に食い込めたのは、運営会社であるJR東日本ウォータービジネス社が、メーカーに偏らない品揃えにこだわっているからだ。うまくすれば、もう1アイテム、男性向けも扱ってもらえるかもしれない。
もし、エキナカ自販機が無理なら、マチナカ自販機を狙うことになる。男性向けということであれば、実はマチナカは親和性が高い。エキナカでは、電車待ちのホームで飲料を購入する「自販機女子」も利用客の4割を占めるというが、マチナカ自販機利用客は実に9割が男性。自販機はオトコの「エナジー・チャージスポット」なのである。
狙いは「アサヒ飲料」だ。アサヒ飲料は保有自販機の数は全国23万台と中堅クラスであるが、カゴメなどをはじめ、コラボレーション商品を出している。前出のウォータービジネス社ともエキナカ商品のコラボ実績もあるため、うまくすればマチナカ、エキナカ共用品が開発できるかもしれない。
いずれにしても、チャネル開発は困難を伴うため、有力企業との協業がオススメである。
最後にPromotionは、「オトコゴコロ」に響くヤツを企画しなくてはならない。が、プロモーション企画業務は、筆者の本業でもあるので詳細は割愛する。(ご用命いただければ、弊社プランナーが企画致します)。
以上、勝手企画として、「冷え性オトコ」向けの商品の売り方を考えてみた。現実のマーケティングプランはこんなに荒っぽいものではないが、思考実験として、日々こんなことを考えると観察眼も養えるし、情報収集力も高まる。気になる商品やビジネスの切り口を、単なる「思いつき」のレベルから「プラン」まで発展させて考えることをオススメしたい。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。