先週のことになるが、6月24日、KDDIがNTTの独占状態にある電報事業に参入すると発表した。電報というオールドメディアに参入し、NTTが握る9割強のシェアから2割を奪取しようという目標だ。
しかし、黙っていても、低料金は市場に伝わらない。今後、広告をはじめとした様々なコミュニケーションが強化されるだろう。そのコストもふくらむことになる。これは「コストをかけて、一気にシェア切り取り・大量受注を達成し、規模でカバーする」という戦略に他ならない。市場に一定以上の認知が広まり、本当の意味での「ローコストオペレーション」が軌道に乗るまでは、歯を食いしばる時期になるだろう。
相次ぐ値上げの世の中で、あえて「料金2割下げ」という逆張りの戦略を打ち出し、NTTの9割以上独占という市場から、一気に2割を切り取ろうという目標。一見、数値先行の単純な戦略のようだが、逆に考えれば小さく展開しても規模の経済は働かない。先行しているものの、なかなか成長軌道に乗らないベンチャーと同じ群れの中に埋没するだけだ。
「数値目標は覚悟を決めて大胆に」。全てのプレイヤーが真似できることではないが、それがKDDIの戦略骨子ではないだろうか。古くて熱い市場となった電報をめぐる戦いの今後をウォッチしていきたいと思う。
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2008.07.02
2008.07.17
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。